回路設計職はきついのか?

回路設計職(アナログ回路設計・デジタル回路設計・高周波回路設計…その他)エンジニアは、きついのか。これから回路設計職に就職・転職されようという方々向けに、実際のところきついかを紹介しています。

この記事の執筆にあたっては、転職技術部のエンジニア(回路設計・自動車業界で12年の経験)が担当しています。
転職技術部のエンジニアは自身で回路設計・パターン設計を行いますし、回路設計会社への外注(外注先の選定、発注、外注コントロール)の経験もあり、回路の評価やEMCのテスト等を一通り行ってきたエンジニアです。

回路設計職はきついのか?

「回路設計職はきついのか?」
この問いに答えるため、簡単に回路設計の仕事(回路の種類や業務フローによって異なります)について紹介します。また、労働環境や給与、スキルについても紹介していきます。

回路設計の仕事(種類とキャリア)

回路設計の仕事は、回路専門性から「アナログ」「デジタル」「高周波」など、回路設計の回路の種類によって職種分けされていることがほとんどです。そして、業界経験10年くらいまでの方はどれか1-2種の回路設計についてその専門性を高めていくといったキャリア感です。
デジタル1年、アナログ3年、高周波(無線)10年くらいが基礎の習得にかかる時間でしょうか。
結局のところ、どの分野も同じ物理現象の上に成り立っており、デジタルでも、高速になればアナログ、高周波の知識が設計やトラブルシュートに必要になって来ます。キャリアの中で数年高周波に触れる機会があれば、20代前半から働き始めて35-40歳くらいには全ての回路設計を行うことができるようになる方もいらっしゃいます。

キャリアの見通しは良く、実績に応じてキャリアの形成(新しい分野、より高難易度の業務)をしていくことが可能です。

回路設計の業務フロー

回路設計の業務フローですが、概ね以下のようになっています。
場合によっては、この全部を行う会社もあれば、本当に回路設計のみという会社もあります。
今回は、仕様書の作成から評価まで一通りをフローとして掲載しています。

1. 動作(機能)仕様書の作成
製品の(機能)仕様書の作成は、回路以外の機能や機械やソフトエンジニアとの調整が必要になることもあります。各担当者やプロダクトのリーダーと調整しながら作成することもあります。

2. 回路設計
機能仕様書では、既に概略のブロック図等ができていることがありますが、さらに詳細な機能ごとのブロック図が必要になることが多く、詳細ブロック図を作成することもあります。その後、ブロックごとに機能を実現する回路を設計していきます。ICの選定や周辺部品、マイコンの選定等の部品選定も回路設計中に行います。

3. シミュレーション
回路動作のシミュレーションを行います。アナログや電源回路、高速信号、高周波回路などは特にシミュレーションを行うことで、事前に設計の課題を発見することができるため、シミュレーションを行うことが多いです。

4. PCB設計
PCB(プリント基板)の設計です。実装済みの基板をPWBと呼びます。機械設計にも関連があるため、機械設計者と調整しながら、部品高さや強度、振動や熱、配線等を考慮して設計を行います。

5. 試作・動作確認
PCBは基板の製造工場で製造されます。仕様はPCBの設計者(回路設計者)が決定し、製造指示を出すこともあります。他にも回路設計者が部品の調達に関して仕様を決めるものがあります。例えば、電源回路のトランスや、コイル、水晶発振回路の水晶振動子などは既製品ではなく、仕様を作成してオーダーすることも多いです。PCBの製造が終了すると、PCBに部品を実装します。部品の実装が終わると、外観チェックをして通電・動作確認をしていきます。

6. 各種評価・性能テスト(EMC等を含む)
動作確認で各種性能や特性を計測したり、温度試験や、ノイズ試験、負荷試験や耐久試験など製品のアプリケーションや用途その他の要求される仕様や法規制などにより評価やテスト内容は異なります。

設計と製造スケジュール、製品のリリースまでにあまり時間がない場合には一連のフローを手戻りが少なくなるように行わなければならず、また動作確認で不具合が見つかったり、テストの結果、性能が未達だったりすると改善のために苦労することもあります。そこがエンジニアとしての能力が試されるのですが、やりがいがある反面プレッシャーもかかってきます。

労働環境

回路設計職の労働環境ですが、前項で紹介しているように、回路設計の業務フローで紹介しているように、PCBや回路設計はCADを使用しますし、シミュレーション等も行うため、ワークステーションや精密機器を使うため、最悪の場合でも労働環境は、工場内あるいは設計室等の照明と冷暖房がそれなりに完備された居室内となります。

試作や動作確認や各種評価やテストは、場合によっては製造現場と併設した開発エリアのこともありますが、大抵の場合には専用のラボ(実験・開発用の別棟(別室))で行われます。テスト用の設備や様々な機器・ツールがあり、テストエンジニアの多くがここで多くの時間を過ごすことになります。

また、製品の認証を受けたり、試験をする際に自社内で設備がない場合(電波暗室や振動試験装置等々…)は、試験サイトや外部の認証機関、工業試験場等での作業が発生する場合もあります。

他のものづくり系のエンジニア職と比べ良いわけでも悪いわけでもないですが、強電(電力・パワエレ)系のほうが、弱電(民生、省電力、低電圧)系に比べ、製造現場に近い職場環境です。

電子回路設計者の給与水準

電子回路設計者の給与ですが、上場会社の回路設計職のボリュームゾーンとして、年収600-800万くらいです。地方に勤務の方も本社や工場が都市圏にあると高い給与水準の会社もあります。
専門性や個人の能力、業界によるところが非常に大きいのですが、平均年収500万円、30代の給与平均が560万円くらい*1です。
【出典 *1】マイナビAGENT 回路設計・半導体設計 気になる平均年収サマリー
TLや課長職程度であれば、700-800万円GLや部長であれば、800-1200万円くらいの給与が期待できます。

IT系のエンジニア職と比べ比較的保守的な給与水準と感じます。物凄く低い方もいなければ、その逆もあまりいません。ミドルアッパーがボリュームゾーンです。

電子回路設計者のスキル(資格)

電子回路設計者のスキル(資格)ですが、IT系と比べると資格の種類も少なく、また独占資格もありませんので、エンジニアの評価はスキル(実力)や実績によって評価されます。そのため、無理に資格のための勉強をせずに済みます。もし、何か資格が欲しい方は、電検3種かE検または、エンベデッドシステムスペシャリストをお勧めします。

しかし、大変専門性も深く知識の取得には時間がかかる職種や領域もありますが、他のIT業界のように流行り廃りが少なく、ベースのスキルは10年-20年と活かしていくことができます。

【結論】回路設計職はきついのか?

ここまで、回路設計職について紹介してきました。皆さんはいかがお感じでしょうか。
客観的に皆さんが感じたものが正解だと思います。

筆者は回路設計職のエンジニアとしてこの答えにズバリ答えると…
回路設計職は『きつくない』です。

キャリアや給与、労働環境の面ややりがいや専門性、今後の発展性等を総じて考えると回路設計職は全く『きつくない』といえます。

現在転職活動中の方や、現在回路設計職に就いている方が待遇や仕事の進め方に問題を感じているのであれば、一度転職エージェントに登録して相談されることをお勧めします。

登録や相談は応募者は完全無料です。
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